【川上薬店が紹介されました】


▲店舗は国道に面しているが、来店しやすいよう駐車場スペースを確保
▲店内は相談コーナーだけでなく腰掛けるスペースを随所に配置し、癒しの空間を演出。入り口部分を吹き抜けにしているのも印象的
▲木の温もりにあふれた店頭。看板には先生の写真と「お肌のトラブル110番」の文字が


▲OTCコーナーではポスターやチラシなどを用いて積極的に提案している
▲店頭には「吹き出物、ニキビ、アトピー」のポスター
▲お店のホームページには相談フォームが用意されている。ホームページ開設以来、多くの相談が全国から寄せられていると言う

漢方療法推進会情報誌『やげん通信』
Vol.37

2008.9.1発行・漢方療法推進会事務局

優良店訪問
第33回

川 上 薬 店

翁のような存在を目指し
“漢方難民”を救いたい

 JR浦和駅東口から国道沿いに車を走らせていると、右手に和菓子屋さんを思わせるような和風の建物が姿を現わす。
 「人は大自然に対し従順に生きていくことが大切。東洋医学の考えに通じたその姿勢を表現しようと、13年前に改築するときに木の温もりにあふれた相談主体のお店を作りました」と川上先生は話す。

 同店の創業は昭和30年。「父が初代、姉が2代目で、その後を私が継ぎました」とのことだが、川上先生は20代初めまで演劇の道を目指して大学の芸術学部に通っていた。最初は店の手伝いをしながら芝居の勉強をしていたそうだが、「漢方の諸先生の講演を何度か聞くうちに東洋医学の素晴らしさに開眼し、漢方薬店として歩むことを決意しました」と振り返る。それ以来勉強と研鑽を重ね、漢方薬店として揺るぎない地位を確立している。店頭の看板やホームページにご自身の顔写真を掲示しているところに、お客様への責任感と自信があらわれている。

 今後の目標は「翁のような存在になること」だと言う。
 「病院に行っても満足できない人や、ネットで漢方薬を調べても自分に合った漢方薬がわからないで迷っている“漢方難民”を救うのは中医学の弁証だと思います。そのために漢方技術をさらに磨いていくのはもちろんですが、人間としても包容力や洞察力を身につけ、縁あって相談されたお客様が『相談してよかった』『安心した』と心許せる存在になりたいと思います」

「漢方90包」を中心に
お肌のトラブルに対応
相談のきっかけは
口コミとホームページ

 漢方薬と自然化粧品を軸にお店を経営する川上薬店は、業態と立地から婦人科疾患に特化した店づくりを志向。
 今回はその中から若い女性に多い「お肌のトラブルと漢方」について、その対応方法について伺いました。

抜粋記事漢方療法推進会情報誌『やげん通信』Vol.37より(2008.9.1発行・漢方療法推進会事務局)

ポイント1

脾胃機能の低下に加え、
社会生活での
ストレスや食生活の乱れが
背景に

 川上薬店では顧客層の中心が「20〜80代の女性」ということから、漢方相談の軸を婦人科疾患においているそうだが、その中でも「お肌のトラブルや皮膚疾患」が非常に多い。

 「1つは開店当時から化粧品に力を入れてきた関係で女性客が多いというお店の特性があります。そのため『女性と漢方』をテーマに取り組んできたのですが、漢方を始めた当初、吹き出物のお客様に『当帰芍薬散+ヨクイニン』で非常に良く効いた経験があるので、それ以来、自信を持って漢方の柱としています」と川上先生は振り返る。

 お肌は口コミにつながりやすいことも、力を入れている理由の1つにあるようだ。

 お肌のトラブルで最も多いのは月経疹と言われる成人型ニキビ。口の周りやあご、首筋にかけて症状が出る吹き出物に悩む20〜30代の女性が圧倒的に多いという。

 「食生活の変化、月経トラブル、脾胃の問題や肝鬱が背景にあるのではないか」と川上先生は指摘する。
 「冷たいものを取りすぎることによって脾胃が弱っていることが背景にありますが、そうした体質的な下地があって、社会に出てから生活が不規則になる、ストレスが多くなる、1人暮らしでちゃんとした食事が取れなくなるといったことが重なって脾胃虚弱や肝鬱が多くなるのではないでしょうか」

ポイント2を読む

ポイント2

ホームページ上での
相談にも
きめ細かく対応


 こうした若い女性に向けて、より広く情報を発信するためにホームページを開設したのが2001年のこと。現在ではお肌のトラブルに関しては、口コミと並んでホームページ経由での相談が最も多いそうだ。
 ホームページでは「お肌のトラブル110番コーナー」を設け、サイト上での相談に対応している。問診表に記入してもらい、あとでお店から治療法をメールで回答する。

 例えば、『○○様の場合は必要な血液が不足して血流が悪くなり、毒素が皮膚の表面から出ています。良い血液を補い、血液の流れを良くして停滞した老廃物を取り除いたり末梢の血行を良くすれば自然にお肌に栄養が行き、吹き出物がなくなります』という内容。ここでは具体的な処方名までは書き込まず、より詳細な情報が必要な場合は改めてメールでやり取りする。

 回答までは無料で行っているそうだが、遠方からの問い合わせも少なくない。ネット相談で特に気をつけているのは月経の情報の正確性。月経周期、経血の色・質・量はもちろん、生理時の痛みの有無、痛み方、痛む時期、血塊の有無・大きさなど「月経の項目は忘れないで教えてください」とお願いしていると言う。

 「メールでのご相談うち1割がお客様となります。01年から始めて数え切れない数の相談にお答えしています」と川上先生。
 若い女性の相談客が多い理由は、ホームページで情報を公開していることのほかに、「なるべく漢方を重くしない」ようにしていることが挙げられる。
 「漢方を前面に押し出すと、どうしても敷居が高くなったり重く感じてしまいます。だから当店では化粧品やエステを前に持ってきて、女性が気軽に来店できるようにしています」

ポイント3を読む

ポイント3

お肌の状態、
月経の状況、
食生活の状況で
対応策を決める

 お肌のトラブルのへの対応は、1)お肌の状態、2)月経の状況、3)飲食を中心とした食生活を確認するところから始まる。

 「お肌の状態は虚実を見極める大きな材料です。『患部が大きい、赤い、痒い、痛い、腫れている』といった所見が見られる場合は『実』と考えられますし、反対に『患部がポツポツで小さい、赤くない、腫れや熱がない』場合は『虚』と考えられます」と川上先生は説明する。

 虚実の割合は虚が9割を占める。10代の若い女性は比較的実のほうが多いそうだが、20〜30代以降になると、圧倒的に虚になると言う。ただし最近は、10代でも虚が増えている。ちなみにホームページ経由での相談で、お客様が遠方で来店できない場合は、皮膚の写真を送ってもらい、「どういうときに悪化するか? 月経前はどうか?」といったことを直接電話で確認して弁証の判断をしていく。

 使用する漢方薬を挙げていただくと、虚のほうでは当帰芍薬散、逍遙散、参苓白朮散、六君子湯、人参養栄湯、実の治療には清上防風湯、防風通聖散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸などを用いることが多い。難治性の症状と判断した際は、これらの漢方薬に加え、ケアリプラやケアピローサといった健康補助食品を用いると言う。

ポイント4を読む

ポイント4

食生活の状況を
詳しくヒアリング、
病気の原因を
本人に自覚してもらうため

 治療に際してのもう1つのポイントは、どのような生活を送っているのか、「体質や飲食を中心とした生活背景」を詳しくヒアリングすること。

 「最近は食生活が乱れています。肌のトラブルに悩んでいる女性にお話を聞くと、『朝はパン1個とゼリー』と言ったように、年齢に関わらず、あまり褒められた食生活をしていません。『朝、食べられない』という方も少なくありません」
 川上先生は、「本人がなぜそうした症状になったのかを、自覚しないと治らない」と強調する。特にその疾患が生活習慣や食事に影響を受けていると判断しら、30分以上かけて食養生の話をすると言う。
 「『あなたの疾患は胃腸の消化吸収力が弱くて、必要なものを吸い上げて要らないものを出す力が弱いから起こるんですよ。胃腸に負担をかけることをしていたら、ますます治らなくなりますよ』と口を酸っぱくして話します」
 特にペットボトルの普及で冷たいものを飲みすぎている人が多く、脾胃の弱っている人が目立つとのこと。
 川上先生はこうしたお客様に「朝は湯気の立つ和食を食べるように」次のように指導している。
 「温かくて湯気の立つご飯やお粥、味噌汁は胃腸に負担をかけないだけでなく、体の陽気を高めます。人は昼間活動するようにできていて、陽気が高まれば消化・吸収・代謝・運搬の効率が良くなり『気血』が生まれ運ばれるので、体は元気になるしお肌は自然にきれいになっていきますよ」
 そして香辛料(薬味)と天然塩の積極的な摂取を推奨している。「薬味は1)消化を助ける天然の胃腸薬であり、2)全身を温め血行を良くして冷えから体を守り、3)皮膚の発散を良くして精神の安定をはかり、4)制菌・防腐作用があり肺・大腸の働きを助け、5)脂肪を燃焼させ成人病の予防になる」と説明しています。また天然塩は「腎の栄養剤」であり「陽気の源」で「水毒を予防する」ので現代人には大切なものとお話しています。
 香辛料と天然塩の必要性のお話は推進会元代表幹事の落合富雄先生にご教授いただいたそうだ。

ポイント5

虚実挟雑などを考え初回は
15日分4カ月以上の
服用を事前に話す

 初回の処方日数は15日分が基本。
 「もちろん証を見て間違いないと判断すれば1カ月分出しますが、ほとんどの人は症状が複合しています。冷えもあれば血虚もある、肝鬱もあるというように併せ持っていることが少なくありません。月経もいろいろです。理論上では血虚は『遅れる、少ない』ということになっていますが、量は多いのに貧血の場合もありますし、理論どおりには行かないことがたびたびです。虚実挟雑などを考えたうえで、まず15日分で様子を見ることにしています」

 服用は最低でも4カ月は続けていただくようにしている。
 「血液が生まれ変わるのに120日かかりますから、特に慢性的・体質的な病気については4カ月は続けないと意味がないと事前にお話します。2週間で効果がないと、『何だ、効かないじゃない』と止めてしまう方がいますが、そういう人が出ないように、4カ月以上の服用と、食生活を見直し、治すのは自分自身であることを理解してもらうことが大切です」

症 例 紹 介

外陰部のひきつり、痛み

●49歳・女性、やせ型
●主な症状と概要
主訴は外陰部の引きつりと痛み。
2年ほど前からおしっこをしたときや性交時にヒリヒリするようになり、ひどいときは歩いても痛みが響くこともある。婦人科で診察を受けたが、対処法がないという。この患者は10年ほど前から、お肌のトラブル(吹き出物。敏感肌)で漢方薬(当帰芍薬散+ヨクイニン)を服用していた。

●処方
陰虚と気血不足と判断し六味丸と人参養栄湯をそれぞれ1日3回、1カ月単位で服用してもらう。漢方のみで少しずつ快方に向かっていたが、しばらくすると痛みがぶり返してきたので、ケアリプラを1日2回プラスしたところ、2カ月後にはかなり改善する。

1年経った現在も2つの漢方処方とケアリプラを服用しており、痛みもなくお肌の張りやつやが戻ってきたと言う。

夜も眠れない
アトピー性皮膚炎

●26歳・女性、中肉
●主な症状と概要
顔、腕、足など全身のアトピー性皮膚炎。皮膚の状態は乾燥して赤く、痒みが強い。皮膚が肥厚しており象皮状態。掻くと白い粉が落ち、血が滲む。痒くて夜も眠れない。

●処方
血虚から陰虚に傾いており血熱も強いと判断して知柏地黄丸と温清飲をそれぞれ1日3回1カ月分ずつ渡す。1年ほどは同処方を中心に服用を続ける。その間、痒みがひどいときには白虎加人参湯や清熱・補血作用のある健康補助医薬品を用いるが、症状は一進一退を繰り返す。その後、症状の変化に合わせて黄連阿膠湯や当帰飲子を使用するなど臨機応変に対応したところ、3年後症状はほぼ改善。顔や手足、胸元などもきれいになる。

現在は予防のために当帰芍薬散、杞菊地黄丸、ケアピローサを服用しているとのこと。

「年頃のお嬢さんでお母さんも心配されていたのですが、見違えるようにきれいになりました。お肌がよくなってから結婚され、すごく喜ばれました。今ではお母さんとお父さんにも漢方薬を服用していただいています」(川上談)

◆症例を中心とした実践的な講座でバックアップ◆

 漢方療法推進会・関越支部長としてリーダーシップを発揮し、会の運営に奮闘する川上先生は、「新しい会員さんを増やすことが目下の最重要課題です」と話す。

 そのため、同支部独自企画で種々のパンフレットを作成するほか、カウンセリングに役立つ実践的な講座を企画するなど、意欲的に取り組んでいる。

 「推進会には個々の疾患に対応できる中医学のノウハウがあります。これから生き残るためには、きちんとした中医学を身につけることが大切です。新しい会員さんと一緒に盛り上げていきたいですね」(川上談)