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ええから加減
 
 昨日、有楽町にある「シアタークリエ」という東宝系の劇場で、「ええから加減」というお芝居を観てきました。(作・永田俊也、脚本・演出・田村孝裕・、主演・藤山直美・高畑淳子) 
久し振りに直美ちゃんに会えるということと、それもあのNHK大河ドラマの「篤姫」で一躍脚光を浴びた高畑淳子さんが女漫才師という設定での共演ということでとても楽しみにして行きました。

 物語は、上方女漫才コンビ、鋭い毒舌で根っからの漫才師・ツッコミの濱子(藤山直美)と同じ毒舌でもどこか愛嬌のあるボケの宇多恵(高畑淳子)が、夫や芸人仲間、楽屋で働く人達、事務所の専務などと共に、仲が悪いと言われながらも25年間コンビを組んで頑張ってきた人生模様を描いた物語だ。

 最初の場面でいきなり二人の漫才が始まるのだが、練習してきた甲斐があってか、リズムも乗りもよく漫才らしく見えて好調な滑り出しだった。そして、芸人仲間とか楽屋の仲間とのやり取りも「そんな感じなんだろうな」という場面があって引き込まれた。濱子(藤山)は夫(赤井英和)との生活に不自由はないが、芸人としての自分に惚れた夫に自立した仕事をしてほしいと願っていて、主夫としてやりがいを感じている夫と離れたいと思っていた。そのふたりのやりとりも「やさしさ」と「芸人としての自分のありよう」に揺れた心が見えて印象深かった。

 高畑淳子さんは舞台では声がかすれて大変そうに見えた。でも根性があって一生懸命やっている姿は好感が持てる。直美ちゃんみたいに器用さはないが、やはりボケとしての味があって心がホッとする。
直美ちゃんは相変わらずセリフが生き生きしていた。その場を捉える力、セリフを心から理解して表現する力は抜群だ。漫才師としての演技も90点以上だけど、でも漫才師ではない。そこは彼女は理解していて、どんなにやっても本当の漫才師になれるわけはないのだから、お芝居の中で楽しめる漫才師を演じようとする心意気を感じた。

 ただ、お芝居の終わり方があまり良くなかった。ふたりが頑張って上方演芸大賞を取るのだが、その事実は字幕スーパーで観客席に知らされ、そして最後のシーンはお祝いの花輪が舞台一面に飾られているシーンだった。安易な感じがした。賞を取るのが一番大切なことではないが、せめて賞を取って喜び合うふたりの姿を見たかったし、夫や芸人仲間が喜ぶ姿も見たかった。

 カーテンコールのときに用意していったプラカード「直美ちゃん 大好き」を掲げたのだが、直美ちゃんには無視されてしまった。たぶん女優としてたくさんのお客さまに対して感謝をしたいのだけれど、ある一部のファンに反応してしまったら、そいつらが付け上がるかもしれないし、周りのお客様に対して失礼だと思っているのかもしれない。反省して今度は静かに舞台を見守り拍手しようと思った。


                     劇場前に貼ってあったポスター 

      
                    手作りのプラカード!目立つでしょう?!