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初めてのオーケストラコンサート
 
 昨日2013年4月21日、NHKホールにて、佐渡裕指揮&BBCフィルハーモニック、ピアノ辻井伸行公演ツアーを女房と共に体験しに行ってきました。私にとっては思春期以降初めてのオーケストラコンサートでした。女房が非常に取るのが難しいチケットを取ってくれ、席はやや右ですが1階のかなり前の方の良い席だったので演奏者の細かいところまでよく見えました。

 最初は佐渡裕さんのおしゃべりから始まりました。2年前、3.11の震災で今回と同じメンバーのツアーが中止になり、でも2年後にまた同じメンバーでできたことへの感謝と、震災で親を失った子供たちを支援するためにツアー各地で募金を募っている旨の話があり、大きな拍手がありました。

 1曲目はコンサートマスターが震災に遭われた人たちにぜひ演奏したい、ということでプログラクにはなかったのですがブリテンの曲を、続けての2曲目はメンデルスゾーン「真夏の夜の夢」序曲で、演奏が始まりました。

 すごい感動しました!

 かすかな弦楽の響きがスーッと聴こえてきた瞬間、この世の音とは思えないくらいビックリしました。こんな音は生まれて初めての体験です。世界一美味しいシュークリームみたいな音です。演奏が始まって15秒ぐらいで涙が出てきました。そして演奏が進むにつれ、管楽器、打楽器とともにハーモニーが奏でられると、とても不思議な気分になってきました。演奏に心が揺さぶられている自分があるのです。感情なのか、呼吸なのか、イメージなのか、とにかく日常とは違う世界に入っていった気がします。演奏が終わって拍手をするのがとても気持ち良かったです。

 そして、いよいよ、辻井君の登場です。

 登場だけで万来の拍手です!曲は、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番ハ短調」です。
この曲はテレビで辻井君が弾いていたのを見たことがあったので、今回どのように演奏するか、そしてオーケストラとどう絡むのか、非常に楽しみにしていました。

 静かに、丁寧に、ピアノから始まりました。
 それがいつの間にか、嵐になったり、小春日和になったり、恐ろしい場面になったり、音楽が渦巻いていくのです。その中で面白い体験をしました。オーケストラ全体でMAX大きな音を出した瞬間、舞台に火花が上がったように見えたり、辻井君のピアノのシンコペーション気味の音を聴いていると座席から滑り落ちてしまいそうな感覚になったり、第三楽章でテーマ旋律に戻ったときは、「川上君、君は今のままでいいんだよ!自分の人生を精一杯生きればいいんだよ!」という声まで聞こえてきたのです。

 ビックリしました。
 こんな体験は初めてだったからです。

 そして演奏が最後に近づくにつれ、渦巻く度合いはどんどん高まり、辻井君のピアノとBBCオーケストラと指揮者の佐渡さんがひとつになって昇っていって素晴らしいカオス(混沌)に昇華されたのです。終わった瞬間、すごい拍手です!スタンディングする人もいるし、僕は思わず「ノブーッ!」と大声で叫んでしまいました。すぐに横から女房にたしなめられましたが、後で聞いたら、条件反射でやっただけで本当に心から止めたのではないということでした。(笑)

 アンコールは辻井君のピアノソロで、ショパンの「雨だれ」でした。震災に遭った人々に心を寄せながら演奏している感じで、本当に心に染み入りました。言葉は出ないけど涙が出ました。音楽の力と素晴らしさを感じました。


  2011年の直筆サイン入りパンフレットと2013年の今回のパンフレット