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生まれて初めての全身麻酔での手術
 
 昨年12月20日頃から、おしっこを切る時、尿道の先に痛みを少し感じるようになった。
特に気にはしていなかったが、今年のお正月明けの5日になると、何もしなくとも尿道に痛みが走るようになり、夜には1時間おきにトイレに行き排尿痛と尿の出しぶりがひどかったので、これは尋常ではないと思い翌日6日、近所の泌尿器科医院に行ってみた。

 レントゲン撮影やエコーなどで膀胱に結石があることが判明した。
8,4mmの大きさなので、自然に尿道から出るにはギリギリの大きさだそうだ。自然に出すには無理と私も医師も判断し、大きな病院を紹介してもらい、そこでもう一度検査して、手術する方向で話し合った。その4日後の1月10日、予約した病院でもう一度いろいろ検査した結果、やはり手術することになった。結石をレーザーでいくつかに切り分けて内視鏡で取り出す全身麻酔での手術だ。

 手術日は10日後の1月20日に決まり、気持ちを準備していくことになった。
その後5日間は排尿時の痛みは多少あったが、尿はそれなりに出ていたのでなんとかしのげていた。しかし某会合の新年会に行きビールを飲んだ翌日から排尿の回数・痛み・促迫度が増して、手術の2日前には15分間隔でトイレに行くようになり痛みも排尿困難も最高潮に達していた。

 「早くこの苦しさ・辛さから逃れたい!」
この気持ちが「生まれて初めての全身麻酔による手術の不安」を押しのけていった。局部麻酔もやったことがない人間が全身麻酔である。不安にならないわけがない。「麻酔から覚めなかったらどうしよう?」「意識がなくなるってどんな感じなんだろう?」不安は尽きなかった。

 手術3日前の17日に入院して説明を受けた。手術が月曜日なので、2日間外泊許可をもらい、手術前日19日の午後、病室に戻った。「あの辛さから早く逃れたい」という「手術の必然性」を心に抱いて戻ったはずだったのだが、体はそうはいかなかった。血圧は190〜200、体温は37,2℃、あんなに温かい病室でも足が冷えて頭がのぼせて不安になってしまったのだ。血圧降下剤をもらい飲んだ。排尿痛もひどいし、果たして明日手術ができるのか?手術前日の夜の葛藤が始まった。

 病院でもらった血圧の薬の効果が今一つだったのと不安感があったので、持参した「回陽救逆」と「桂枝加龍骨牡蠣湯」と「感応丸」を数回服用、血圧はなかなか下がらなかったが、夜中もそれを続けて、心の中で「陰陽調和、陰陽調和、・・・」とつぶやき続けた。同室の隣の人のイビキがひどいのも手伝って寝れず、もんもんとして夜中の2時になってしまった。看護婦さんに相談したが、今から催眠導入剤を飲むと明日朝の手術が難しくなると言われ、持参したラジオを聞いた。そうしたら2時間弱ウトウトすることができ、朝6時の血圧も100/180とかなり高めだが、体は冷えのぼせが取れて気分はだいぶ楽になっていた。

 手術は9時からで、8時40分には歩いて手術室に入る。7時に髭剃りと歯磨きをして、7時半に手術着に着替えて8時から点滴が始まり待機した。8時40分になり、「川上さん、行きますよ」と言われドキドキの頂点になるかと思ったら意外と冷静に手術室に入れた。実は4日前に手術室に入り、担当の先生や看護長から説明を受けていたのでスムーズに入れたのだ。そして当日の手術室でもスタッフが温かく迎えてくれて安心感を与えてくれたのが助かった。

 手術台はとても温かかった。「はい、では麻酔の点滴を入れますよ」と言われ、腕に冷たい点滴を感じた瞬間、記憶はない。そして、いきなり、顔の上で、「はい、川上さん、これが摘出した石ですよ〜」という声が聞こえ、天井がどんどん流れていくのが見えた。「はは〜ん、手術が終わって、ストレッチャーで病室に向かっているところなんだ」と気が付き、「川上さん、どうですか?」と聞かれたので、「患部に違和感はありますが、大便が出そうになったらどうしたらいいんですか?」と訳の分からないことを、ナースステーションと待合ロビーの間の廊下近辺を通った時に大声で言っていたそうです(笑)(女房談)

 その後、担当医師に説明を受けたのですが、私の場合、膀胱の下の尿道がかなり狭く、内視鏡がとても入りにくかったそうです。でも無事に成功したそうです。安堵感もありましたが、この10日間の戦いを思い起こしました。そして病院のスタッフの温かさ・仕事の的確さに感心し、感謝しました。今回の手術は一般的にはそんなにたいした手術じゃないかもしれませんが、私にとってはたいへん貴重な経験になりました。

 その日の夜はぐっすり眠れました。夕飯を食べてテレビを見ていたのですが、夜8時には寝てしまい、途中看護師さんが点滴交換や尿の排出に来た時に少し気が付きましたが、その他は翌朝4時まで目が覚めませんでした。

 そして今日(1月21日)は退院です。朝8時頃、担当の医師がカテーテルを外してくれました。あとは尿を取って提出すれば退院なのですが、8時前まで管が付いていたのでおしっこを溜めなければなりません。お茶や水をどんどん飲んでやっとおしっこが出て、めでたく退院できました。まだ、尿が少し赤かったり、排尿時に少し滲みたりしますが、自分でおしっこをできる喜びをかみしめています。戻ってきた日常が嬉しいです。明日からまたがんばって働いていこうと勇気が湧いています。



 手術室から帰ってきたところで撮影