老化現象 生薬が効果


  内臓の病気や外傷など、はっきりした原因が認められない腰痛や足腰のだるさは、多くは老化によるものです。
 中国医学には「腰は腎の器」という言葉があります。この場合の腎は五臓の一つで、腎が弱った状態を”腎虚”といいます。腎虚という言葉は現代ではほとんど使われませんが、江戸期には庶民の常識的な言葉だったようです。井原西鶴も作品の中で「たとえ腎虚してそこの土となるまでも・・・」と使っています。
 具体的にどのような症状かといえば、下半身が衰弱したために起こる腰痛、足腰のだるさ、脚力の低下などが挙げられます。その背景には、骨の劣化があるとされます。
 また、やはり下半身の衰えとしてインポテンス、早漏、頻尿、尿もれなどの泌尿・生殖器系の症状があります。このほか耳鳴りや難聴、健忘、不安、不眠、骨や歯の衰え、白髪、脱毛、病弱、体の乾燥、呼吸や嚥下の不調も挙げられます。
 まさに老化現象そのものといった症状が並びますが、このことからも、中国医学の腎は、今日で言う腎臓よりもっと広い範囲の生理機能が含まれていたことが分ります。
 このように腎虚に対しては、「補腎」という治療法があり、千八百年ほど前の医書「金貴要略」に「八味腎気丸」という処方があります。トリカブトの根を加工して毒性を弱めた生薬が配合されており、体が冷える人の腰痛やインポテンスにも用いられています。
 さらに中国では効力の強い動物性の生薬を用いており、代表的な処方に「海馬補腎丸」があります。タツノオトシゴ、鹿茸(鹿の若角)、オットセイの睾丸や陰茎などが配合されています。このほか、針や灸などには即効性があります。インポテンスの特効薬は、ムカデと当帰などを入れた「亢萎霊」があります。



 

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