うつ治療には補腎薬


   何をやっても面白くない、早く目覚めてしまう、食欲も性欲もないーこのような不快な症状が続く状態を、”うつ状態”あるいは”うつ病”と呼んでいます。初めの内は不快感があり、寝つきが悪くなったり早く目が覚めたりする症状が見られ、徐々に不快な症状が増えて重くなっていきます。
 若い人では”いじめ”や”精神的な強いストレス”など、高齢者では定年退職などによって生きがいを失うことが原因となっていることが多いようです。
 最近、ある若い男性が割合短い期間のうちに「抗うつ剤」の服用を徐々に減らしていき、とうとうすべて中止して以来数ヶ月、元気に働いているというケースがありました。
 その青年はそれまでの数年間仕事ができない状態でしたが、自主独立をモットーとし、経済的に親に頼る状態から脱出するため懸命に仕事を探しました。そして、給料を得る喜びに目覚めると同時に、一切の抗うつ剤を中止することができました。
 この青年はうつ状態が軽かったとも考えられますが、この例は人が生きがいを得ることこそ、”うつ”や”不安”の一番の良薬であることを示しています。
 昔から「英雄色を好む」といわれます。あまり良い意味では使われませんが、積極的、楽天的で美食を楽しみ、異性との交際にも精力的な状態は、ちょうど”うつ症状”の正反対といえるでしょう。
 このような心身の違いを中国医学の目で見ると、五臓のうちの主に”腎”の力の差だといえます。腎は精力を貯蔵する臓器系でもあり、腎が弱ると”腎虚”となり、生命活動が衰え、臆病になり、不安感や不眠、無気力、インポテンスなどの症状が出てしまうのです。
 このため、治療には腎を強める補腎薬を柱に、その人に合った治療を行っていきます。