川上薬店
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漢方の世界のチョットしたお話


瘀血の話

「瘀血」とは?

「瘀血」(おけつ)…。ちょっと耳慣れない言葉ですが、漢方の世界では「健康のキーワード」ともいえる大切な考えです。

正常な血液はサラサラとして、滞りなく全身を巡ります。からだの隅々まで栄養を与え、私たちの健康を支えてくれます。

ところが、何らかの原因によって、血液の粘度が高くなると、サラサラとしてきれいな血液が、どす黒く粘りを増した状態になってしまうことがあります。

こうなると、今までスムーズに流れていた血液の流れが悪くなり、からだのさまざまな所で淀みや渋滞を起こすようになります。自然の川も、水が澄んでいれば停滞は起こりませんが、濁った汚れた川ではヘドロなどが溜まり、流れにくくなります。

 

これが「瘀血」です。つまり、からだの中の血液が正常に流れなくなってしまうのです。


血液サラサラで生活習慣病を防ぐ

「瘀血」が発生すると、からだの中のいたるところで痛みが起こったり、皮膚の色が黒ずんできたり、皮膚がザラザラしたり、とさまざまな症状が出てくるようになります。

女性であれば月経血に塊がまじったりします。人間にとってかけがえのない血液ですが、場合によっては健康を損なうもとにもなるのです。

さらに「瘀血」の状態が進行していくと、血管の老化が進み、高血圧や心疾患、肝臓疾患など、さまざまな生活習慣病へと移行することもあります。

病気につながりやすいドロドロ淀んだ血液を、サラサラ流れるきれいな血液に変える・・・。特に中高年の方にとって、「瘀血」を改善することがみずみずしいからだを回復する最良の方法なのです。

「瘀血」の原因は?

精神的ストレス

ストレスは、脳の中の自律神経系に影響を与えることが知られています。ところが、ストレスが過剰になってくると、自律神経がダメージを受け、血管の筋肉が収縮し流れが悪くなります。打撲打撲をすると、内出血を起こします。血管から外に漏れたそうした血液も「瘀血」です。打撲をすると、からだの中の血液の流れも悪くなり、アザができやすくなります。

運動不足

ふだんあまり運動をしないと、血液の巡りは除々に悪くなり、「瘀血」につながります。


過食や美食

食べすぎで肥満傾向の人、アルコールの飲みすぎ、いつも肉食などの美味しいものを食べている人は、血液の中の中性脂肪も多くなりがちです。中性脂肪が増えると血液はドロッとするようになり、流れも悪くなります。

冷えと寒さ

冷えや寒さを感じると、からだは収縮します。血管も同じように収縮するので、血液の流れが悪くなります。


「瘀血」の症状

「瘀血」の症状は多様です。精神・身体症状がからだのさまざまなところに現れます。

疼痛

頭痛、神経痛、肩・首筋の痛み、心臓の痛み、腹痛、生理痛などからだの各所に痛みが起こります。痛みは同じ場所に起こるのが特徴で、刺されるような痛みがジワジワと続きます。特に、夜になると痛みが強くなる傾向があります。

精神神経症状

いつもイライラしがち、のぼせ、不眠、憂鬱感があってクヨクヨとものを考える、といった精神神経症状が現れるようになります。


健康な人の舌の色はピンク色をしています。しかし、「瘀血」になると色が次第に黒ずんできます。舌の裏側を見ると、静脈が青紫色にふくらんでくるようになります。

色素沈着

「瘀血」は色にも現れます。目のまわりに黒いくまができたり、皮膚全体が黒ずんだりします。また、シミやソバカスが増え、ちょっとした打撲で青アザができやすくなります。


具体的な「瘀血」の症状

強いストレスがある
高血圧が気になる
頭痛が強く夜も眠れない

動悸が激しく、胸が苦しく寝る
イライラして怒りやすい
最近酒が弱くなった

肝臓が気になる
神経症
不眠症

生理痛が強い
生理不順、
こしけがあり月経血が黒っぽい
出血をしやすい
(痔出血や子宮出血)

冷え性で体が冷える
更年期障害
湿 疹

足のかかとが乾燥しやすい
冷えのぼせがある

打撲などで内出血をしやすい(アザが出来やすい)
生理不順や生理痛などの婦人科疾患

他にも症状は様々なものがありますが、こういう症状は「瘀血」を伴っていることが多くあります。

診察をして「瘀血」があると判断したら症状に応じた「瘀血」を取る処方をして改善を目指します。

予防と養生法

「瘀血」は、日ごろの生活習慣の中から徐々につくられていきます。「瘀血」を予防するためには、毎日の生活を通して血液の流れを悪くしないように心がけることが大切です。

イライラしない。クヨクヨ考えない

ストレスをため込まないようにしましょう。心にゆとりをもち、頑張りすぎない事が大切です。

●からだを冷やしすぎない

からだを冷やす水分、清涼飲料水はほどほどに。生野菜や果物もとり過ぎないようにしましょう。また、薄着を避け、保温性の高い衣服を身に付けるようにこころがけてください。


●適度な運動でリフレッシュ

運動といっても、スポーツだけが運動ではありません。散歩や買い物、ちょっとした日曜大工・・。毎日の生活の中で、無理なくからだを動かすようにすることです。

●規則正しい食生活を心がける

イワシ、アジ、サンマ、セリ、ナス、セロリ、ニラ、えんどう豆、海苔・・・といった食材は、血液のめぐりを良くするといわれています。といっても、同じ傾向の食品だけをとるのは感心できません。バランスを第一に、毎日少しずつでもとるようにすることです。


私、瘀血かも・・・!?

下記の症状は、血流が滞った状態「瘀血」が原因で起こる事がよくあります。

チェックリストでチェックしてみましょう。

目クマができやすい

顔にシミができている(色素沈着)

肌がカサカサで、ザラついている

唇の色が黒みを帯びている

歯ぐきが紫色がかっている

舌が黒ずんでいる

手のひらが紅くなる

ときどき下腹部が痛くなる

あちこちに血管が浮き出ている

軽くぶつけたのに、青黒いあざになる

へその回りを押すと痛みがある

肋骨の下あたりに手を差し入れると、抵抗感・不快感がある

痔になりやすい

 月経障害(生理不順や生理痛など)がある

上記の症状が3つ以上あてはまる方は「瘀血」と考えられます。

新型コロナウイルス感染症と漢方

新型コロナウイルス感染症対策

漢方薬での新型コロナウイルス感染症に対する対応を考えます


予 防

生体の防御機能(免疫力)を高めることが大切です。

漢方では昔から感染症に対してたゆまぬ研究と臨床を重ねてきました。人体には「気」というエネルギー、機能が存在します。

 

気の働きは次の5つです。

①推動作用(全身に気血津液精)を送る②温煦作用(体を温める)③防御作用(外敵から体を守る)④固摂作用(体液などが漏れないようにする)⑤気化作用(物質を変化させて代謝させる)

 

このうちの③防御作用は気血を補うことで強化されます。代表的な方剤としては「補気健脾」「補血」作用のあるものです。これらを普段から服用しておけば徐々に免疫力は高まり、感染しにくいまたは感染しても重症化しにくい体を作ることができます。

かかってしまった場合

症状によって対処法が微妙に異なります。

1)だるい、味や臭いがしない

感染症にかかりかけた初期と思われます。邪が少陽に侵入したと考え、「和解半表半裏・解表」作用のあるものなどを使用します。

2)のどが痛い、熱が出だした

邪が風熱として侵入したと考え、「辛涼解表・清熱解毒」作用や「和解半表半裏・清熱透表」作用のあるものなどを使用します。

3)発熱悪寒、胸隔部の閉塞感、舌苔が白く厚くべっとり

湿熱疫が膜原にこびりついたときは、「芳香化湿・理気和中」や「化痰清熱」作用のあるものなどを使用します。

4)高熱、はげしい咳、痰、呼吸困難

肺炎に相当します。ぜんそく用の方剤を使用します。「清肺平喘」「止咳・清熱」作用のあるもの、「温肺化痰・平喘止咳利水」作用のあるものや「桔梗石膏」などを使用します。

5)胸部の閉塞感が強い、胸部の痛み

肺に痰がこびりついて呼吸が苦しくなっている状態です。「浄痰化痰」「理気活血」作用のあるものなどを使用します。

状態に応じてどう使い分けるか

※コロナ肺炎にたいしては、上記の処方等を上手に組み合わせて症状に応じて対処していきます。

中国や台湾では、「清肺排毒湯」という名前で、軽症、中等症、重症患者に幅広く処方され、改善に役立ったようです。

 

中身は上記の処方を4~5種類合方したような内容です。たとえば重症の肺炎患者には、「麻杏甘石湯」+「射干麻黄湯」+「柴苓湯」+「霍香」+「枳実薤白半夏湯」みたいな感じです。

これに上記の症状を見ながら、足したり引いたりしながら状態を改善するように調整していきます。

血栓症が心配な場合や痰がこびりついてしまった時は「化痰薬」と「理気活血化於薬」を足していきますし、肺炎による咳がひどい場合は「桔梗石膏」を足していく、というような感じです。

 

いずれにしても感染してしまった場合は入院になります。しかし、隔離施設に入所したり、病院で特別な治療法がない場合は、漢方薬を試す価値は充分にあると考えています。

ストレスと胃腸疾患について

ストレスから胃腸保護

精神の緊張が肉体に大きなダメージを与えることがあります。特に胃腸は影響を受けやすく、食欲不振、胃もたれ、胃痛、おなかの張り、便秘と下痢の繰り返しなどの症状を起こしがちです。同時に、気持ちが落ち着かない、イライラして怒りっぽい、不眠などの症状を伴うことも多いでしょう。女性では、月経前にヒステリックになる、乳房が張る、月経周期が乱れる、生理痛が強いなどの不快な症状を訴えたりもします。

 

ストレスが体にいろいろな悪影響を与えるメカニズムは、中国医学の立場からはおよそ次のように考えられます。ストレスを受けると、まず脳を酷使します。しかし、脳はタダで働くことができず、今までより一層多くの血液を消費することに。血液の貯蔵庫は「肝臓」で、肝臓は血液を浄化し、そのきれいになった血液に栄養を与え、体中を動かしています。

 

ストレスが過剰になると脳がどんどん血液を使ってしまうため、他の器官をまかなう分が不足し、多くの不調が発生することになるのです。胃腸の障害も、このようにして発生すると考えられます。そこで、ストレス性の胃腸障害には「肝」の働きを助けながら、直接消化吸収を強めたり、痛みを緩和する生薬を用いる方法がとられます。胃が痛い、もたれる、食欲はあるが食べようとしても受け付けないなどの時は、主に胃が侵されているため、香りが良くて気分をさわやかにする薬草を用いて胃を助けます。「開気丸」や「柴胡桂枝加ウイキョウ牡蛎」などの処方がその例です。

下痢と便秘を繰り返すような時は、腸を調整する作用のある「肖遥散」の類の処方が良く、情緒の安定にも役立ちます。

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