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キャッスルマン病と漢方

指定難病-特発性多中心性キャッスルマン病

キャッスルマン病は1956年にベンジャミン・キャッスルマン医師が提唱した慢性のリンパ節腫脹および慢性炎症を特徴とする疾患群です。分類としては単一のリンパ節にのみ発症する単中心性キャッスルマン病と、複数のリンパ節に発症する多中心性キャッスルマン病に分けられます。原因は不明とされていて、欧米ではHIVおよびHHV-8陽性者でのキャッスルマン病の合併が多く報告され、ウイルス感染との関連が考えられていました。日本ではHIVおよびHHV-8陽性者のキャッスルマン病患者はごく少数で、現在では世界的にも少なくとも1/3程度の患者は他の要因による発症とされています。治療ではステロイドや抗がん剤による化学療法が試みられましたが、感染症や悪性腫瘍の合併による死亡が多く、多中心性キャッスルマン病の場合、無治療では予後は不良とされていました。

患者数と罹患者の特徴

患者数

日本における多中心性キャッスルマン病はおよそ1,500人程度、年間の発症数は100万人当たり1人程度と推定しています。

罹患者の特徴

小児から老人まで幅広い層に見られます。発症年齢中央値(平均)は単中心性キャッスルマン病で30歳代、多中心性キャッスルマン病で40歳代です。特に地域や環境、性別による違いはないとされています。

病気の原因はわかっているのか?

症状のほとんどはIL-6などのサイトカイン(体内にあって体温や発汗などをコントロールしている物質)の過剰産生によるものと分かっています。しかし、何がサイトカインの過剰産生をもたらすかはまだ明らかではありません。ヘルペスウィルスの一種のHHV-8の感染により同様にキャッスルマン病が発症することが知られていますが、日本ではほとんどの患者さんがHHV-8陰性で原因不明です。生活習慣などにも関連などにも関連はないと考えられています。

キャッスルマン病は遺伝するのか?

世界的には数例血縁者間で発症した患者が知られています。しかし全患者のごく一部で、一般的には遺伝はしないものと考えられています。

キャッスルマン病はどのような症状を引き起こすか?

症状としてはリンパ節腫脹・発熱・倦怠感・皮疹などの非特異的な炎症症状があげられます。

細菌感染やリウマチ性疾患などで発熱や倦怠感がありますが、それらの症状が原因なく発症し、ずっと続くと考えるといいかもしれません。軽症の方では、全く無症状で検査所見だけから診断されることもあります。検査所見では貧血、腎障害及び多クローン性ガンマグロブリンの上昇、CRP陽性などの慢性炎症所見があります。画像所見では全身あるいは局所のリンパ腫脹が主体です。経過は数年にわたりますが、無治療では倦怠感や発熱などで日常生活が障害されることが多いです。

西洋医学と中医学(東洋医学)での治療法

西洋医学での治療

現時点では完治させる治療法はありません。かつてはステロイドや抗がん剤による化学療法による病勢のコントロールが主体でした。しかし病気の主体がIL-6の過剰産生であることが判明し、抗IL-6レセプター抗体であるトシリズマブが2005年に市販され治療に中心的な役割を果たしています。症状の中心となっているIL-6の作用を遮断し、症状のほとんどを軽快や消失させる事が出来ます。しかしあくまでも対症療法であり、通常は2週間ごとの反復投与が必要です。

中医学(東洋医学)での治療

中医学の視点から見ると、病状がリンパ節の腫脹、倦怠感や発熱などがあることから「気虚」や「気滞」が関連していることがうかがえます。(詳しくはこちらの「中医学の基本用語」のページをご覧ください。)

中医学において「気」の役割は5つあります。

・温煦

・推動

・固摂

・防御

・気化

この「気」が「虚」している状態を「気虚」といい、人により非特異的な症状を呈します。

ある人は防御作用が弱くなり風邪を引きやすくなったり、ある人は固摂作用が弱くなり内臓下垂や子宮下垂、脱肛などの症状が出たり、推動作用が弱くなり気が停滞して発熱したり、「気虚」の症状は様々ありますが、根本的な原因は一緒なんです。

この事から考えると、キャッスルマン病の方の多くは気虚の状態にあるかもしれず、補気をする漢方薬の服用で症状が改善する可能性も大いに考えられます。

もちろん全員同じ治療で治るかと言われるとそうではないと思いますので、個別に問診をして適宜漢方薬を処方する必要はあると思います。

ワタナベオイスターの可能性

ワタナベオイスター(牡蠣肉エキス)のついて少しご紹介致します。

なぜ急にワタナベオイスターかというと、こちらの会社の製品の中に「DHMBA(ディーバ)」という成分が配合された商品があります。

この成分がILの過剰産生抑制効果がマウスの実験でもデータとして出ており、上述したキャッスルマン症候群の原因でもあるIL-6の過剰産生にも効果があるのではないかという期待が持たれています。

また、キャッスルマン症候群以外にもILの過剰産生を原因とするサイトカインストームなど幅広く応用が利くので、まだマウス実験の段階ですが今後難病に対しても広く活用されていくと思います。

中医学の可能性

中医学というものは2000年以上前から中国において活用されてきた医学で、その症例数はとてつもなく多くあります。

しかし現代医学も物凄いスピードで進化をしています。

西洋医学は対症療法に特化しており、症状を抑える・止めるというのは得意ですが、原因に対しての治療は不得意です。

一方中医学は西洋医学に比べると対症療法の効果は少し劣りますが、原因に対しての治療を得意としています。

西洋医学の長所・短所、中医学の長所・短所をしっかりと捉え、上手に活用していくことで、難病にも立ち向かっていく事が出来るのではないかと思っております。

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