潰瘍性大腸炎と漢方薬
指定難病の中では一番数が多い疾病で、平成26年度のデータでは約17万人患者数がおり、その罹患者数は年々増加しています。
ここでは潰瘍性大腸炎の説明と、中医学の視点から考えた治療方法をご説明いたします。
潰瘍性大腸炎とは?
大腸及び小腸の粘膜に慢性の 炎症 または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を 炎症性 腸疾患といい、狭義にはクローン病と潰瘍性大腸炎に分類されます。
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の 炎症性疾患 です。特徴的な症状としては、血便を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。この病気は病変の拡がりや経過などにより下記のように分類されます。
1)病変の拡がりによる分類:全大腸炎型、左側大腸炎型、直腸炎型
2)病期の分類:活動期、 寛解期
3)重症度による分類:軽症、中等症、重症、激症
4)臨床経過による分類: 再燃 寛解 型、慢性持続型、急性激症型、初回発作型
潰瘍性大腸炎の原因は?
原因は明らかになっていません。これまでに腸内細菌の関与や本来は外敵から身を守る免疫機構が正常に機能しない免疫反応の異常、あるいは食生活の変化の関与などが考えられています。
具体的な症状
下痢(便が軟らかくなって、回数が増えること)や血便が認められます。痙攣性または持続的な腹痛を伴うこともあります。重症になると、発熱、体重減少、貧血などの全身の症状が起こります。また、腸管以外の合併症として、皮膚の症状、関節や眼の症状が出現することもあります。
治療方法
西洋医学的治療
西洋医学での治療は基本的に服薬での治療となります。
この服薬は症状を抑えるための対症療法として服薬し、症状をコントロールしながら生活していきましょうという方向で処方されます。
もしこの服薬でも改善が見られなかったり、大腸に穴が開いていたり出血したりする場合は外科手術をして大腸を全摘出します。
中医学的治療
中医学での治療は西洋医学と同じく服薬の治療です。
ですが西洋医学との違いにおける大きな違いは、対症療法をしつつ、根本の原因となっている要因に対しての手当てもしていくという点にあります。
上述した潰瘍性大腸炎の症状に、下痢・血便・痙攣性または持続的な腹痛を伴う事もあり、重症になると発熱・体重減少・貧血などの全身症状が起こるとあります。
このような症状は中医学でいうところの「陰虚」の証と似ております。
また、実はこの症状が出るようになってしまった背景を探っていくと実は「脾」が虚弱な方の場合もあることから、「陰虚」の治療と同時進行で「脾虚」の治療も行っていくと改善がより早く見込める場合がございます。
潰瘍性大腸炎と診断されたら
「最近胃腸の調子が・・・」「健康診断で・・・」などの理由で病院に行ってみたら潰瘍性大腸炎と診断されてしまった場合には、病院での治療と並行して漢方薬を服用し始めるのもお勧めです。
現在出ている辛い症状は病院のお薬で一時的に緩和して、漢方薬で元から治療していくという方法が難病の治療には適していると思います。
また、ご自身が入られている医療保険の請求なども忘れずに行うようにしてください。