ここ数年無理をして仕事をしてしまったせいか、夜眠れなくなってしまった。という30代の男性の方でした。
「仕事で無理をし過ぎて体調を崩してしまい病院に行ったけど、あまり効かないのにどんどん増える薬の量が不安になってしまい、漢方薬を一度試してみようと思って・・・」ということでご来店いただきました。
西洋医学は対症療法が中心ですので、とにかく急いで症状をどうにかする必要がある場合には有効ですが、不眠やメンタル疾患の場合は体の内面が原因のことが大多数ですので東洋医学・中医学による漢方の方が有効な場合が多いですね。
漢方薬で不眠は治るの?
不眠の原因は様々なものがありますが、主な原因としては体の内面的なものです。
体の中の物質が不足していて、各器官に十分な栄養が送り届けられずに各器官が常に疲れている場合や、ストレスによって脳がイライラしていたり疲れていたりする場合など、他にも原因はありますが、最近の不眠症のご相談でお見えになる患者さんはこういったパターンが多くなっています。
ご本人の体質としては
・疲れやすい
・食欲があって食べるけれども胃腸は丈夫ではない
・胃が張る
・倦怠感がある
・運動が出来なくなってしまった
・ここ一年で急に太った
・てんかん発作がある
といった状態でした。
もともと体はそこまで弱くはないけれども、仕事の無理がたたって弱くなってしまっている状態ですね。
弁証は「心脾両虚」で、治法は「平肝熄風・補気補血・陰陽調和」をして体を整える処方を出しました
来店いただき、丁寧に症状を伺いました。原因は「心脾両虚」と判断し、補気補血・陰陽調和をして体を整える漢方とクマザサのエキスを1日3回飲みながら、今現在相当脳に負担がかかってしまっているので、スーッと脳の疲れを取ってくれる漢方薬を頓服で服用していただきました。
経過
服用後1か月・・・睡眠剤量を減らしてもすーっと眠れるようになった。眠れるようになったおかげで夜中に食べることがなくなり、体重も5Kgほど落ちた。倦怠感も取れた。こんなに効くものなのかとビックリした!続けて飲みたい。
服用後2か月・・・てんかんの発作も起きなくなった。良く眠れるようになった。
不眠に関してのアドバイス
この方の場合は、とにかく仕事を頑張り過ぎたことで頭の中が疲れ過ぎて眠れなくなった事が原因となって、その他の体調不良(疲れやすい・胃が張る・倦怠感など)が出てきてしまっていました。
このように仕事を頑張り過ぎる、対人関係や育児・介護疲れなどで頭に疲れ(ストレス)を溜めこんでしまうと、東洋医学でいう「肝鬱」という状況に陥ってしまいます。この「肝鬱」というのは不眠だけでなく様々な症状を引き起こします。
コロナの影響という事もあり、当店に来店される患者さんの中でも「肝鬱」を抱えている人は年々増えております。
漢方は長く飲まないと効かないと思ってらっしゃる方も多いとは思いますが、「葛根湯」を思い出してください。風邪の時に飲んですぐ効く漢方薬もあります。西洋医学のように対症療法として飲む漢方薬も多くあります。
不眠に対しても、この方のように1か月でかなりの改善が見込めるケースもあります。
対症療法ではなく、体質改善や体力強化・血液を増やすといった目的で漢方薬を飲む場合は人によって時間がかかります。
その違いもしっかりとご説明させていただき、ご理解していただきます。
不眠に関しては様々な原因がありますので、治療法やお薬も変わってきますが、どんな患者さんに対しても必ずお話をしっかりと聞き、きちんとした漢方薬を出して、患者さんを治す事が私たち漢方の専門家の仕事です。
是非とも一度ご相談ください。
コメントをお書きください